温度単位の摂氏と華氏：その違いと換算方法について

アメリカを訪れた際に、テレビで気温が95°Fと表示されているのを目にすることがありますが、これはアメリカで用いられている華氏という温度単位です。

摂氏でいうと約35°Cに相当します。

本記事では、摂氏と華氏の存在背景、これらの単位の特徴、換算方法、そして世界でどの国がどの単位を使用しているのかについて解説します。

摂氏と華氏の基本的な違い

摂氏と華氏は、それぞれ異なる方法で温度を測定しますが、基準となるのは水の凝固点と沸点です。

摂氏は水の凝固点を0°C、沸点を100°Cとし、この間を100等分に分けています。

一方、華氏は水の凝固点を32°F、沸点を212°Fとし、間を180等分に分けています。このため、摂氏1度の上昇は華氏では約1.8度の上昇に相当します。

華氏から摂氏へは次の式で変換できます。
摂氏　=（華氏ー 32）÷1.8

逆に、摂氏から華氏へは次のように計算します。

華氏 = 摂氏 × 1.8 + 32

例えば、人間の平均体温36.5°Cは華氏で約97.7°Fです。

摂氏と華氏はそれぞれ異なる時代の科学者によって開発されました。

華氏は1724年にドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトによって導入されました。この温度単位は彼の名前に由来しています。

摂氏は1742年にスウェーデンの天文学者アンデルス・セルシウスが考案したものです。セルシウスの名前がこの温度単位の名前となっています。

1970年代に多くの国でメートル法が導入されたことにより、摂氏が広く使われるようになりましたが、アメリカなど一部の国では今でも華氏が使用されています。

アメリカでは法律上は摂氏が採用されているものの、日常生活では華氏が広く使用されています

。特に天気予報では華氏が一般的で、インターネット上でも摂氏と華氏が併記されることが多いです。

家庭用の体温計などでは、摂氏と華氏を切り替えて使用できる製品が普及しています。

教育現場では華氏の使用が一般的であり、摂氏への完全な移行には大きな経済的影響が伴うため、進行が難しい状況です。

なお、ジャマイカ、バハマ、ケイマン諸島でも華氏が主に使用されています。

多くのヨーロッパ国ではかつて華氏が使用されていましたが、現在はドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、チェコ、ポーランド、トルコなどほとんどの国で摂氏が普及しています。

イギリスでは1960年代から1970年代にかけてメートル法の導入と共に摂氏への移行が進められましたが、一部の分野では今も華氏が使用されています。

日本をはじめ、中国、韓国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポール、インドなどアジアの多くの国々で摂氏が主に使用されています。

オセアニア地域ではオーストラリアやニュージーランドを含むほとんどの国で摂氏が採用されています。ただし、パラオ共和国では華氏が使用されている例外もあります。

世界各国での温度単位の選択は、地域によって異なります。

アメリカなど一部の国々では日常生活で広く華氏が使用されていますが、公式な文脈や科学の分野では摂氏が主に用いられています。

一方で、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの多くの国々では、メートル法の導入により摂氏が標準的な単位となっています。

アメリカでは、公式には摂氏が採用されているものの、日常会話や天気予報では華氏が一般的で、学校教育においても華氏が主に教えられています。

ヨーロッパの大部分の国々では摂氏が広く使用されていますが、イギリスでは非科学的な分野で華氏が時々使われることがあります。

アジアとオセアニアのほとんどの地域では、摂氏が一般的です。

このように、温度単位の選択はその地域の文化や歴史に根ざしています。国際的なコミュニケーションやデータ共有の際には、これらの違いを理解し、適切に対応することが重要です。